405 投資権限を与えていますか?
2009-06-24 (水)
ここ最近の新聞・ニュースを見ていると、財務面に関する多くのニュースが 「固定費削減」「フリーキャッシュフローの改善」「在庫削減」「資金調達」 「増資」に関するものが大半です。
その中で、日立グループが「カンパニー制」を導入するというニュースが ありました。
カンパニー制は、私が大学時代に勉強していた分野の一つで、最新の経営方式 というわけではありませんが、この制度自体は、会社を分割することなく、 会社内に擬似会社を作ることで、トップの経営判断のスピード力をアップし、 より効率的な経営を行う経営組織の方法です。
実際にカンパニー制の長に指名された者は、疑似会社の社長として、売上や 利益だけでなく投資権限についても、決裁範囲の中で自由に決裁が行えるという 点が特徴です。
従来の事業部門の責任者と比べると、資金面も含めてより多くの決裁権限が 与えられていると思ってもらって構いません。
というのも、この制度の特徴に、キャッシュフローが関係してくるからです。
大手企業の決算状況でも、決算書と同様、キャッシュフロー計算書に対する注目度や 評価は、引き続き高まり続ける傾向にあります。
ですが、これに対して従来の事業部制組織の場合、多くのケースが売上や部門の貢献利益 にばかり目がいってしまい、投資判断に関連する意思決定は現場の実情を把握できていない トップが実行していたことを考えると、このカンパニー制を採用することで、①現場の要望に マッチした設備投資計画が実行できる点、②カンパニー単位で、キャッシュフローの改善が 図られるため、従来の全社単位でのキャッシュフロー計算書と比較すると、問題点が認識 しやすく、対策も講じやすい点、が特徴と言えます。
ここ最近では、中小企業でも、すぐに別会社等の設立に走る傾向が見受けられますが、 現場の幹部に経営判断できる力量をしっかりつけさせる為にも、このカンパニー制の 活用価値は高いと思います。
実際に、中小企業の経理処理でも、部門管理を実行している会社がありますが、あくまで 損益計算書に関する区分のみで、貸借対照表までを明確に区分できている会社は少ないと 思います。
カンパニー制では、この貸借対照表の部分についても、各カンパニーで区分しますので、 どのカンパニーが投資効率が高いのか、どのカンパニーがより健全な財務体質なのかが 把握できるという点でも、有効な経営組織の一つと言えると思います。
皆さんの会社では、幹部の方々にどこまでの決裁権限を与えていますか?
これを機会に、自社の現状そして将来の経営組織体制を考えてみて下さい。
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