決算書は外観に過ぎない~餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか? 不正会計編~
2014-08-18 (月)
ベストセラー「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」の最新シリーズの
不正会計編が出版されたので、早速拝読させて頂きました。
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結論から言うと、今までのシリーズで一番面白かったと言えます。
というのも、私が実施している財務コンサルティングの仕事とリンクする部分が多く、
共感できる場面が多数出てきていたからです。
今回のストーリーは、新卒でコンサルティング会社に就職した菅平ヒカリが、出向先の
コンサルティング会社に勤務する中で、安曇先生のアドバイス(ヒント)をもらいながら
クライアントの数々の不正会計の問題点を解決していくというストーリーです。
今回の書籍で強く印象に残ったのは2点です。
まず1点目。それは、今回の書籍で一番心に残るフレーズが「決算書は外観に過ぎない」
というメッセージだったことです。
私自身も仕事をしていて感じることですが、決算書はあくまでその会社を知るための一つの
手段にしかすぎません。
実際に財務コンサルティングを実施する際には、決算書で得られた情報を足掛かりに、
仮説を立てて問題点を検証していく作業に入ります。
そしてこの仮説を検証する過程で、経営者や幹部、経理担当者へのヒアリングを行います。
しかも、信頼関係が構築できていないと、適切なヒアリングが実施できません。
例)売掛金が多い…なぜ債権回収に時間がかかるのか?粉飾?延滞債権が発生している?
在庫が多い…なぜ在庫が多いのか?発注の問題?不良在庫の発生?それとも粉飾?
また、それと同時に社内でどのような人たちが、どのような設備・ノウハウを使って、
どのようにサービスを提供し、どのように資金繰りを回しているのか、それは、実際に
社内で働く人や物の動き、いわゆる『現場の空気』を目で見て、体感してみないと理解できません。
つまり、外部に提供される決算書は、あくまで問題点の手掛かりにはなるものの、
それ以降は、実際に会社でどのようなことが起きているのか、現場で起きている事実を
検証していかなければ、本当の問題点には遭遇できないとういことです。
(もちろん、これまでの仕事の経験上、おおよその見当はつきますが)
毎月、試算表や決算書だけを見て、机上の空論を述べるのでは、会社の財務体質は
改善できません。
もちろん、これまでお伝えしたように、決算書を見たからと言って、会社のすべてが
わかるわけでもありません。
試算表や決算書は、あくまで経営問題を解決するための手がかりを提供してくれるもの
です。
2点目は、今回の本の中でクライアントの依頼にこたえて、決算書の問題点、現場の問題点を
検証していく中で、出てきたのが「不正会計」というキーワードです。
いわゆる粉飾や社内不正が、会社の経営や資金繰りにどのような影響を与えるのか、
また特定の財務指標に固執することで生まれる弊害など、現実に起こりうる話をストーリーの
中で盛り込んでもらっているので、とても感情移入しやすかったです。
経営者や営業、経理、外部コンサル等、それぞれの立場の人が自分の利害を優先したことで、
どのような問題、いわゆる「不正会計」に発展するのかが的確に記載されていました。
こういう問題も、試算表や決算書を眺めているだけでは、なんとなくしかわかりません。
例)なんとなく、販売手数料が多い。
なんとなく、交際費が多い。
なんとなく、売掛金が多い。
なんとなく、在庫が多い。
なんとなく、固定資産が多い。
皆さんの会社でも、試算表や決算書の数字を眺めるだけでなく、現場で起こっている出来事と
これらの数字に整合性が取れているかどうか、今一度見直す意味があると思います。
本書は、我々のようなコンサルタントはもちろん、会計業界に携わる方々、中小企業経営者や
経理担当者にもオススメの一冊と言えますね。
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