417 試算表から見えるものと見えないもの
2009-12-01 (火)
今年に入り、スポットで財務相談の受け付けを始めたのに伴い、 いろんなタイプの財務相談の申込依頼を受けるようになりました。
資金繰りの相談、試算表や決算書の見方の相談、借入の相談、 業績評価の方法、人件費管理の相談、会計ソフトの利用方法など、 相談内容は様々です。
相談内容は多岐にわたりますが、まずは直近の試算表や決算書を 拝見させて頂くとともに、現在の経理・財務状況のヒアリングをさせて頂きます。
これは、試算表や決算書を作成するにあたり、どのようなデータを もとにして入力しているかを確認するためです。
例えば、会計期間は末〆の会社の場合、得意先への売掛金や、 仕入先への買掛金の〆日は何日になっているのか、人件費や他の 未払計上する経費についても、〆日を確認します。
ここで仮に、〆日が20日だった場合は、毎月の端数(先月と今月の 21日~末日までの数字)を反映できているかを確認します。
また、試算表と決算書を見比べ、年払経費が毎月、月割で計上 されているかどうかの確認も行います。
確かに、賞与や保険料など、特定の月に半年払いや年払いを する機会が多い会社だと、払った月に全額経費計上した方が、 実感がわきやすいかもしれません。
しかしながら、その実感というのは、あくまで「資金繰りの実感」 です。
大切なのは、資金繰りは資金繰りとして管理し、毎月の損益計算は 決算に向けての損益計算として1ケ月に相当する経費を経費として 認識して損益管理をすることが重要なんです。
このように、月次試算表を正確に計上することで試算表に毎月の 業績が「見える」ようになります。
一方、これらの管理を行ったとしても試算表では「見えない」ものも あります。
それは、月中の動きです。
試算表は会計期間(主に末日)の段階で一カ月間の損益、並びに末日 での残高を計上したものにすぎません。
このため、「資金繰りが大変」という会社の場合、試算表を確認するのと、 経理・財務担当者へのヒアリングを行うことでおおよその問題点は推測 できますが、実際に日々の資金繰り状況を確認しない限り、何が原因で 資金繰りに苦慮しているのかは、把握できません。
このため、このような問題点に対応するには、日別・週別のキャッシュの 増減状況を確認・分析することが求められるわけです。
ご覧頂いたように、ただ単純に試算表・決算書を見たからと言って、 その会社の一端は把握できますが、全体像や真の姿を確認するには 到りません。
実際に自社の財務体質を把握するには「正確な損益計算書」「月中の資金繰り」 を管理することが求められます。
皆さんの会社では、どのように財務管理を行っていますでしょうか?
これを機会に、自社の財務状況を再チェックしてみて下さい。